手に汗握る？ 「手掌多汗症」

体の一部分だけが異常に汗をかく病気のことを「局所性多汗症」といいます。このうち、手の平に汗を大量にかくことを「手掌多汗症（しゅしょうたかんしょう）」といいます。リラックスしているのに手の平に大量に汗をかくのならば、手掌多汗症が原因となっているかもしれません。手掌多汗症の症状の表れ方は、じんわりと汗がにじむ程度から、ポタポタと汗が滴り落ちるレベルまで人それぞれです。すぐに治療が必要な病気というわけではありませんが、なんらかの理由で自律神経が乱れてしまっている恐れもあります。

手の平だけでなく全身に汗をかく場合は要注意

もし、手の平だけでなく全身に大量に汗をかく場合は、甲状腺機能亢進症や糖尿病、結核などの病気が隠れているかもしれません。甲状腺機能亢進症とは、甲状腺の機能が異常に活発になる病気です。全身の代謝が上がるので、発汗量が増えたり動悸が激しくなったりします。
また、糖尿病になると、糖尿病神経障害という合併症を引き起こすことがあります。糖尿病神経障害は末梢神経に起こる症状で、末梢神経には血圧や内臓の働きをコントロールする自律神経が含まれているので異常な発汗が起こることがあります。

更年期障害の可能性も

40歳を過ぎた女性なら、大量の発汗の原因が更年期障害であることも考えられます。年齢を重ねるごとに女性ホルモンの分泌量が減り、ホルモンバランスが乱れたり、自律神経のバランスが崩れてしまったりすると発汗量が増えることがあるのです。最近は20代や30代でも更年期障害の症状が現れることがありますので、若いから更年期障害ではないというわけではありません。

すでに病気であることがわかっていて治療中なら問題ありませんが、もし以前と比べて全身の発汗が気になるのなら、思わぬ病気が隠れている可能性があります。どんな状況のときに汗が出やすいか、汗が出るのは体の一部からなのか全身からなのかなど、症状をみきわめて、不安なら一度医師に相談してみると良いでしょう。