アトピー性皮膚炎に処方される「ステロイド外用薬」の副作用とは?
公開日:2018/11/20 / 最終更新日:2022/06/06
アトピー性皮膚炎で処方されることの多い「ステロイド外用薬」には、アレルギー反応や炎症を抑えるなどの働きがあります。しかし、使い方を誤るとさまざまな副作用を引き起こす恐れもあります。
具体的には、一体どのような副作用があるのでしょうか。アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐためにも、副作用の症状についてチェックしておきましょう。
ステロイド外用薬の主な副作用
・皮膚が萎縮する
ステロイドにはアレルギー反応を抑える反面、皮膚の細胞の増殖を妨げる働きがあります。そのため、強いステロイドを使い続けていると「皮膚萎縮」という症状が起こり、皮膚が薄くなる恐れがあるのです。
そして、皮膚萎縮が進行すると「皮膚萎縮線条」と呼ばれる症状まで引き起こします。皮膚萎縮線条とは、肉割れや妊娠線などと同じように真皮が断裂し、消えない跡が残ってしまう症状のこと。皮膚萎縮線条は、肩などよく動かす部分にできやすいといわれています。
・毛細血管が拡張する
ステロイドには、毛細血管を収縮させる作用があります。しかし、長期に渡ってステロイドを使用していると毛細血管を収縮する作用が弱くなり、かえって拡張するようになります。その結果、顔が赤みを帯びる「ステロイド紅潮」や「酒さ様皮膚炎」などの症状を引き起こしてしまうのです。この症状が皮膚萎縮と同時に進行すると、赤みが現れるだけでなく、血管がクモの巣のように透けて見えてしまうことも。皮膚萎縮によって皮膚が薄くなることで、より血管の拡張が目立ってしまうのです。
・感染症の誘発
ステロイドを塗った部分は、皮膚の免疫力が低下するといわれています。これはステロイドに免疫を抑制し、炎症を抑える作用があるためです。しかし免疫力が低下すると、皮膚感染症にかかりやすくなります。ブドウ球菌が原因の「毛嚢炎」、アクネ菌が原因の「ニキビ」、真菌が原因の「真菌性皮膚炎」などを発症しやすくなってしまうのです。
このような症状が出た場合は早めに皮膚科で相談し、抗生物質などによる治療を行う必要があります。
以上のように、ステロイド外用薬にはいくつかの副作用があります。このような副作用を引き起こさないためには、信頼できる医師のもとで適切な治療を行うことが大切です。
また、ステロイド外用薬を使わずにアトピーの改善を図るという方法もあります。アレルゲンなどの刺激を避けたり、それぞれの肌に合ったスキンケアを行ったりすることで、改善を見込める場合もあるのです。ステロイドの副作用をしっかりと把握したうえで、後悔しない方法を選んでいきましょう。